もしポケモンGOをやったことがなければ、ドラクエでレベルや熟練度が上がっていく感覚と考えて欲しい。もしドラクエをやったことがなければ、パスポートのスタンプが溜まっていく感覚と考えて欲しい。
もしパスポートをお持ちでなければ、本棚が本で埋まっていく感覚と考えて欲しい。もし本を持ってなければ……。こんなところでいいかな。
つまるところ、自分のコレクションが溜まっていくようなアレ。実に気持ちがいいアレ。自身の成長を目の当たりにするようなアレ。
基本的に前向きな気持ちになることから、アレは無条件で良いものだと思われがちだ。しかしながら、英語学習にとってアレは「海」のようなものだということを、この機会に言っておきたい。恵みをもたらしてくれる一方で、油断していたら波に飲まれて死んでしまうという意味において。
と言うのも、私自身が死んでしまったからだ。1度だけではない。何度も死んでいる。気づけば、死のキャリアを結構積んでしまった。だから分かるんだ。あの苦しさを。サーフィンしているつもりだったのに、離岸流に乗っているだけだと知ったときの絶望感を。
その気持ちを味わう人が1人でも少なくなることを願って、私が知る「海での安全な泳ぎ方」について共有しておこう。
危険な離岸流の例として分かりやすいのが、英単語や英熟語を1つずつ覚えていく快感だろう。今まで知らなかったことを覚えていく作業は、(その時は大変でも)成長を実感できるもの。青空に向かって、ヤッホーと言いたくなるような何かがある。
だから、大変でももっと覚えよう、もっと覚えようとする人だっているかと思うのだが、それは離岸流に乗りかかっていると言っていい。
英単語だけを覚えるのは、交通標識を何種類も覚えるようなもので、それだけで運転できるわけがない。運転するためには、運転の練習が必要。そんな当たり前のことを忘れさせてしまうことが、この離岸流の怖さなのだ。
ちなみに、誤解なきように言っておくと、一部の方が主張しておられる「英単語なんて覚えなくていい」という説を私は正しいと思っているわけでは全くない。むしろ、英単語を覚えなくていいなんて暴論でしかないと思う。最低限の単語は絶対に必要。私が言いたいのは、ただ「快感の波に乗るのが危険」だと言うことだ。
それから、「とりあえずやるシャドーイング」。これも離岸流に変化する危険性が大きいように思う。また「聞き流し」なんて、離岸流の最たるものだ。
というわけで、英語学習と言う名の海岸には、無数の離岸流がある気が仕方ないのだが、何度も離岸流に流されているうちに、沖へ流されにくくなる方法を1つ見つけた。
それは、英語を学習する目標をしっかり立てること。実際に海で泳いでいるときに、陸上にある何かを目印にした経験が誰にもあるかと思うが、その感覚である。
そこを見ておけば、流されてもすぐに気付ける。裏を返せば、そこを最後まで見ていないと、厳しい戦いになる可能性は高いように思う。少なくとも、不利にはなるだろう。
たとえば、「外国人と英会話をしたい」というのが目標だったら、そのゴールを常に見ておく必要があり、「字幕無しで海外ドラマを見たい」だったら、そのゴールから目を離してはいけない。
ゴールをずっと見ていれば、そのために何をすべきかが分かるし、ちょっとずれてても、割と早い段階で気付いて修正できる。
つまり、目標というのは1つの安全装置にもなるということ。もちろん、目標自体が推進力ともなるわけだから、英語を学習する上で、ここをしっかり固めるメリットはメチャクチャ大きい。
ちなみに、自分はというと、英語の本を英語のまま読めることが今のところ目標になっている。だけど、英語の本を英語のまま読めるためには、英語のリズムを身につける必要があり、最低限の文法やら単語を身につける必要があるので、本だけ読んていたらいいというわけではない。
リスニングやスピーキングも必要だ。やらなくてはいけないことがいっぱいある。それを自分の頭で整理・実行するのはしんどい。特に仕事しながらだと、なおさらしんどい。
だから楽をしたい。何が必要か考えることを放棄したい。あ〜アレに身を任せられたら楽なのになぁ……となるだろうが、そこは踏ん張らないといけないんだ。どんなに苦しくても、渡してはいけない。自分の頭で何が必要か考えることを。
こんだけ踏ん張れずに流されてきた自分が言うのも何だけど。
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